私を磨くテーブルマナー

懐石料理

懐石料理というと、敷居が高いと感じる人も多いのではないでしょうか。最近では懐石料理の種類もいろいろ出てきました。懐石料理がどんな料理なのか、懐石料理の作法はどのようなものかを知るには、懐石料理がどんな考えで今日まで伝わってきたのかを知る必要があるでしょう。ここでは、昔ながらの懐石料理について説明します。

懐石料理の本質とは?

日本料理

日本の料理の考えは、懐石料理に見ることができます。懐石料理は、本膳料理を簡素に表したものといわれています。しかし、現在の懐石料理は、上品なもの、贅を尽くしたものであれば、懐石料理と名づけて出す料亭も多くなりました。
本来、懐石料理は質素であり、中身にこだわって、食材の味を楽しむものです。そのため、懐石料理では旬が大切になるもので、亭主がお客様をもてなす気持ちが大切といわれています。

懐石料理の歴史

懐石料理は、茶の湯を行う会所の食事なので、もともとは「会席料理」「仕立て」と呼ばれていました。禅寺の雲水が厳しい修行の折、空腹を癒すため懐に温石(おんじゃく)を入れ、暖めて凌いだのが、のちに懐石料理と呼ばれる由来になりました。
お茶の席ではあまりに空腹では味が楽しめないということで、質素な懐石料理で空腹を満たします。現在では宴の席を会席料理、お茶の席を懐石料理と区別しています。

懐石料理の種類

  • 京懐石…京都にはたくさんの食材が集まってきたため、のちに贅沢な料理へと変化していきました。しかし京都の食材を使った伝統的な懐石料理は風情があるのです。
  • 茶懐石…春〜夏は風炉を開き、秋〜冬は炉を開きます。その季節ごとの味を楽しみます。
  • 懐石弁当…懐石料理を弁当にしたもので、点心ともいいます。
  • 変わり懐石…豆腐を使った懐石料理です。夏なら冷奴、冬なら湯豆腐がぴったりです。

懐石料理のメニューと作法

懐石料理のメニューは、流派によって異なります。また、最近では薄茶やご飯を省略する料亭も出てきています。

一汁三菜

折敷膳(脚のないお膳)に向付・ご飯・吸い物が並びます。最初にご飯と吸い物を食べます。

  • ご飯…ご飯はやわらかめのご飯が出てきます。一文字飯とは糊気の多いご飯で、一文字に添えられます。お客様のために炊いたご飯がたった今炊き上がりましたのでとりあえずお召し上がりください、という意味があります。
  • 吸い物…季節によって赤味噌と白味噌が調合されます。最も風味が良い状態の「煮えばな」をいただきます。具には旬のふき・黒豆・たけのこ・栗・たらの芽・焼き豆腐などが入ります。
  • 向付…ご飯と吸い物の後にさけが出てきます。その後に向付を食べます。湯葉・風呂吹き・酢の物・和え物などがあります。向付の器は取り分け皿としても使われる重要な役割があります。
  • あしらい…向付に添えられるもので、季節を演出します。菜の花・せり・わらび・菊花・ひじきなどがあります。
  • 椀盛(煮物椀)…大振りの椀に入ったもので、メインになります。懐石料理の中でも味の起伏を意味する一菜です。吸地は昆布とかつおぶしの一番だしで、吸口は春〜夏はさっぱりとした塩味、秋〜冬は濃い目のしょうゆ味などが好まれます。
  • 焼き物…淡白な白身魚がよく出ます。
預鉢・強肴

一汁三菜の後出される料理です。預鉢は炊き合わせや酢の物、強肴は塩辛などが出ます。

箸洗い(小吸物)

白湯に近いもので、昆布や塩であっさりと味をつけ、クコの実や銀杏などを浮かべます。次に出てくる八寸を引き立たせるものです。

八寸

2種類の肴を盛り合わせたものです。箸が運びやすいように右上と左下に盛り付けます。また、四角い入れ物に小さく添えるので、余白の美とも呼ばれています。

湯桶

おこげをはがしたものに、塩少々を溶かした湯を注ぎます。

香の物

たくさんなどのお漬物が切り方や味に変化をつけて2〜3種類並びます。懐石料理によっては5〜7種類並ぶこともあります。

季節に見る懐石料理

11月
12月
1月
茶の湯の正月にあたります。風炉を片付け、炉を開きます。5月に詰めたお茶を開く「口切り」をし、皆で祝います。 慌しい中を懐石料理でふっと忘れる時間を作ります。 新年を祝うため、華やかな料理が並びます。
2月
3月
4月
厳しい寒さの中に春の兆しを感じる季節です。体を温かくする料理が並びます。 雛祭りを祝うため、春の軽やかな食材を使います。 日本人に馴染みのある、桜を愛でる季節です。桜鯛や桜の葉を使います。
5月
6月
7月
初風炉(しょぶろ)といって風炉を開く季節です。特に5月は涼しさを表し、寒い季節と暑い季節の区別をはっきりとつけます。 気温差の激しい季節なので、さっぱりとした味が好まれます。 京都では祇園祭が行われます。旬の魚や夏野菜の味覚が楽しめます。
8月
9月
10月
さっぱりとした料理が多くなります。香の物は多めになり、向付には干物や和え物が並びます。 秋の気配を感じる季節です。食べ物も鯵やなすなど変化していきます。 風炉の季節が終わり、炉の準備が始まります。わびさびを感じる季節です。

※風炉…風炉とは5月〜10月の暖かい季節にお湯を沸かすための茶道具です。鉄製・銅製・素焼きなどがあります。

千利休のわびさび

「わびさび」とは、粗末でみすぼらしいマイナスのイメージが美しさとなる考えです。千利休は、質素なものこそ美しいと考えました。これは懐石料理で400年も受け継がれてきた考えです。また、身分のある人が何らかの理由によって粗末な家に住むことを「やつし」といいます。身分の良い人は粗末な家に住んでいても育ちの良さが表れるものですが、育ちの良くない人が粗末な家に住んでもただの哀れみを誘うものであるとし、千利休の考えは身分の良い人たちに支持されました。懐石料理では、千利休のわびさびを守る考えと、時代に合わせて変化していく考えに二分されています。

トップページに戻る

Copyright (c) table-manners.org All rights reserved.