私を磨くテーブルマナー

懐石料理のテーブルマナー後編

懐石料理の後半は、亭主と客が同じ時間を持てたことを喜び、語らうことが大切です。亭主は客に喜んでもらえたかが気になりますし、客は素敵なひとときに感謝を表します。もてなしを受けた客にも作法やマナーが要求されます。ここでは一汁三菜の後に続く作法を紹介します。正しい作法を覚えると、懐石料理の良さを感じることができるでしょう。

懐石料理の作法1:吸い物(箸洗い)

お吸い物
  1. 正客の吸い物を盆にのせ、正客の膳の右向こう側に置きます。
    代わりに煮物椀など空になった器を下げます。
  2. 亭主が「どうぞお吸い取りを」と挨拶して下がるので、客は吸い物をいただきます。
  3. 吸い物をいただいたら、器の蓋を懐紙で拭き取り、次の八寸の取り皿に使います。

懐石料理の作法2:八寸

一献目

  1. 吸い物を食べ終わると、亭主が八寸を銚子を持ち出します。亭主と客は、この時間を共有できたことを喜び、盃を交わします。
  2. 正客は八寸のお盆を拝見して四方回して元の位置に戻します。
  3. 亭主は正客の吸い物に使った蓋を使って八寸の肴のうち海のものを取って正客に差し出します。八寸の肴には海のものと山のものがあります。
  4. 正客は蓋を吸い物の器の上に重ねても構いません。
  5. 亭主は次客に寄って八寸を四方回して置き、さけを勧めます。
  6. 次客以下は正客同様八寸を拝見し、四方回して元の位置に戻します。
  7. 亭主が八寸の海のものを取るので、客はさけと海のものをいただきます。

二献目

  1. 末客までさけと海のものが回ったら、亭主は正客の前に戻ります。
  2. 亭主は「お流れを」といって盃を請います。正客は盃を懐紙で清め、盃台にのせて亭主に勧めます。
  3. 亭主は盃台を受け取り、盃を持つので次客がさけを注ぎます。
  4. 亭主がさけを飲んでいる間に正客は懐紙を四つ折りにし、八寸の海のものをとって亭主に勧めます。亭主はそれを八寸の横に置きます。
  5. 次客は亭主に「お流れを」と盃を請います。亭主は正客から盃を借りて次客にさけを注ぎます。
  6. 亭主は次客の吸い物の器の蓋を借り、八寸の山のものを取り、次客に「お流れを」と挨拶します。
  7. 次客は盃を拭き清め、盃台にのせて亭主に渡します。今度は末客(三客)がさけを注ぎます。
  8. 亭主は末客からお流れを飲み、次客から山のものを取ってもらいます。亭主は先ほど受け取った海のものの隣に山のものを置きます。
  9. 末客(三客)は亭主にお流れをお願いし、亭主からいただきます。亭主は山のものを末客(三客)に取って差し出し、三客は亭主に盃を勧めます。
  10. 亭主は正客の前に戻ります。亭主は「まことに残肴ですが」と断って八寸を勧めます。そして盃を清め、借りていたお礼をして正客に返します。
  11. 亭主は正客にさけを注ぐので、正客がさけを飲んでいるうちに亭主は山のものを吸い物の器の蓋に取って正客に勧めます。

懐石料理の作法3:強肴(しいざかな)

  1. 強肴はさけを勧められた際に出てくる料理です。半東(亭主の補助)が強肴を運びます。亭主は強肴を八寸の左側(上座)に置きます。
  2. 正客は強肴の器を取り、向付の器などに取ります。自分の分を取ったら末客まで取り回します。
  3. 亭主は正客から順にさけを勧め、飲める人は受け取ります。
  4. 亭主は正客の前に戻るので、正客は「お納めを」といってさけを勧めます。
  5. 亭主が盃を盃台に戻したら正客は「ご都合でお湯をお願いします」と湯を頼みます。湯とは湯桶のことをいいます。
  6. 亭主は使った器を持って下がります。客は吸い物の器の蓋を拭き、使った器を膳の外に出しておきます。次客のほうへまとめると良いでしょう。

懐石料理の作法4:湯桶(ゆとう)

  1. 亭主は湯桶と湯の子(おこげ)すくいを湯盆にのせて持ち出します。
  2. 亭主が湯の子すくいを湯桶に入れるので正客は「おまかせを」といい、湯桶と湯の子すくいを受け取ります。
  3. 亭主は吸い物の器と強肴の器を下げます。
  4. 客はご飯の器と吸い物の器の蓋を取り、膳の右側に重ねて置きます。湯の子をすくってご飯の器と吸い物の椀に湯の子を入れます。
  5. ご飯の器と吸い物の椀に湯を注ぎます。

懐石料理の作法5:香の物・湯漬け

  1. ご飯の器にはご飯と湯の子と湯、吸い物の器には湯と湯の子が残っている状態です。向付には香の物がのっています。
  2. まず、ご飯の器に入った湯の子と香の物を一緒にいただきます。吸い物の器を湯と香の物でゆすぎます。この湯をごはんの器に移してゆすぎ、湯をいただきます。
  3. 湯漬けを食べ終わったら、吸い物の器と蓋を懐紙で拭きます。
  4. 向付も拭き清め、箸の先を拭います。
  5. ご飯の器はそのままで、吸い物の器にご飯の器の蓋をのせ、その上に吸い物の器の蓋をのせます。ほかの客はその上に盃を重ねます。箸は膳の右端に手元をかけておきます。

懐石料理の作法6:菓子

  1. 亭主は菓子の入った縁高を正客の前に持ってきます。
  2. 正客は積み重なった縁高の一番下の重に黒文字を入れ、自分の分とします。上の段を次客に渡します。
  3. 次客は正客同様に最下段に黒文字を入れ、自分の分とします。末客まで渡し、同様にします。
  4. 末客まで渡ったら、菓子をいただきます。菓子は懐紙に取り、黒文字を使って食べやすい大きさに切って手前からいただきます。
  5. 使った黒文字は懐紙の端で拭いて、しまいます。亭主が用意した黒文字は懐紙に包んで持ち帰ります。干菓子も2つ折りにした懐紙に取って1つずつ手で割っていただきます。
後礼について

もてなしを受けた客は、後礼として筆でお礼の手紙を書きます。茶道や華道では前礼・御礼・後礼といって感謝の気持ちを表し、人と人のつながりを深めるものです。茶道や華道は花嫁修業としても稽古しますが、単なるお茶やお花というのではなく、礼儀や作法を学びながら「心」を磨いたり、立ち居ぶるまいといった「技」などを身に着けているのです。

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